白石達也の日本酒に人生を捧げる生き方

白石達也は日本酒製造、つまり蔵の長男として生まれました。小さな頃は目の前の機械や米に驚くばかりでしたが、成長するに連れて日本酒の製造について理解するようになります。そんな中、日本の長男は製造にしろ農家にしろ家業の跡継ぎを期待されていることを高校生の時に知り、白石達也は大変困惑しました。
高校生という多感な時期であり、白石達也自身にも美容師になるという夢があったのです。もし美容師という夢を叶えたとしても、いつかは長男として家業の蔵に入らなければいけないと思うと自由に生きていけない現実にストレスを感じました。
しかし時間はあっという間に過ぎるもので、特に両親から跡継ぎに関する話が無いまま美容の専門学校を出て、資格を取得して美容師として働き始めることができました。長男でも家業を継がずに自由に人生の選択ができたと最初は喜びましたが、同時になぜ長男なのに跡継ぎに関する話が一切なかったのか不安にもなりました。高校生の頃は跡継ぎなど考えもしませんでしたが、アイデンティティが形成されて大人になった時に長男としての自覚も芽生えてきたからです。
そこで、なぜ長男なのに跡継ぎの話がなかったのか両親に聞くことにしたのですが、驚きの答えが返ってきます。「お前に継がせるつもりはない」という厳しいものでした。高校生の頃であればこの言葉は喜んだかもしれませんが、長男としての自覚が芽生えた中での言葉なのでショックを受けたのです。
跡継ぎで困っている中、長男として一声かけてやろうという甘い気持ちで話したので、予想外としか言いようがありません。美容師をやっている場合ではないのかもしれないと、危機感が発生しました。

白石達也は、深く考えました。家業を継がせる気が無いなら美容師を続けた方が良いのか、それとも両親にお願いして蔵に入らせてもらうかの二択です。迷った末の答えは後者の蔵に入る選択で、人生で初めて「蔵に入りたい」と両親に伝えたのです。すると、条件付きで蔵に入ることを許可されました。その条件とは、美容師として勤めているお店の店長になったら許可するというものでした。
蔵は自営業なので、人を動かす能力やお金の管理がしっかりできないと運営できません。これから先もしっかりと蔵を継続させる為には、店長レベルのマネジメント能力が必要不可欠だと判断したので、両親はこのようなノルマを白石達也に課したのです。
それを聞いた白石達也は目の前の美容師業務に汗を流し、紆余曲折ありながら3年後に見事店長となりました。店長としてお店を落ち着かせ、後任者を育成した後に美容師の職を辞したのです。
ノルマを達成したものの、ほとんど日本酒の知識がないまま蔵に入るのも失礼だと感じたので、空いた時間とこれまでの貯金を利用して全国の蔵を訪問する計画を立てました。一度蔵の中に入ってしまうと、なかなか外の世界を見ることができないので今のうちに見ておこうという考えです。日本酒のメッカである新潟県を中心に、東北・関東・中部などの蔵見学を繰り返しました。見学だけでなく各蔵で酒の試飲をさせてもらい、自分がどのような酒を醸していきたいか考えます。甘口か、辛口か、手作りにこだわるのかなど様々な考えを巡らせては否定する毎日を送ります。もちろん家の蔵の味を引き継ぐことが大前提ではありますが、単に味を引き継ぐだけでなく今の味をあえて成長することも大切だと学びました。

白石達也は、マネジメント能力と日本酒の知識を身につけ満を持して蔵に入ることができました。両親と言えども職場では上司であり、子どもだからこそ厳しい言葉も飛び交いました。そして、四苦八苦しながら人生で初めて酒を醸すことができ、長男白石達也の酒が世に出ました。
なかなか上手くいかないもので、結果は好ましくなく「味が変わった」などの声がほとんどでした。両親から手取り足取り教わりながら酒を醸しても上手くいかない現実に、白石達也は深く落ち込みました。
ただ酒造りは基本的に毎年寒い時期に行われ、仕込んだ酒を約1年間販売するという流れなので、リベンジをする機会は毎年あるということになります。それから5年間、がむしゃらに酒造りに没頭した結果評価が大きく変わってきました。
初年度は違和感だらけの評価でしたが、「確実に進化している」という評価が多くなってきました。蔵巡りの際に味の引継ぎだけでなく、より進化させることの大切さを学んでいたので、この評価には喜びました。酒造りは毎年が勝負で、去年良くても今年は出来が悪いと判断されては頑張りが無駄になってしまいます。なので毎年の冬は、人生をかける思いで丁寧に酒を醸しています。
売上は良好で、毎年販売すると数か月で完売してしまうほどです。規模が小さくて総数が少ないという点も大きいですが、あえて蔵を拡大せず目の行き届く範囲で醸しています。本当に旨い酒を醸造したいという思いが、常に心の中にあるからです。

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